「家電の顔」「未来はない」…テレビ事業どうするべきか(産経新聞)

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「家電の顔」「未来はない」…テレビ事業どうするべきか(産経新聞



「家電の顔」「未来はない」…テレビ事業どうするべきか
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辻野晃一郎氏(左)と森本博行氏(写真:産経新聞

 世界市場をリードしてきた国内電機メーカーのテレビだが、今では韓国メーカーにシェアを奪われ、軒並み赤字の苦境に陥っている。「家電の顔」として、日本ブランドの知名度を世界で引き上げてきたが、低価格競争が続く中で、各メーカーは収益に結び付けるのが困難な状況だ。今後、国内メーカーはテレビ事業をどのように位置づけるべきか。首都大学東京大学院の森本博行教授と、アレックス社長兼最高経営責任者(CEO)の辻野晃一郎氏に話を聞いた。(山田泰弘)

 ■森本博行氏「家電の顔、今後も重要」

 ○家族団欒に大きな役割

 −−国内メーカーにとってテレビ事業の重要性はどのようなところにあるのか

 「テレビは家電の中でも、消費者に向けたブランドの顔というべきものだ。特に新興国では今でもリビングに置かれたテレビが家族団欒(だんらん)に大きな役割を果たしている。テレビは小さな子供がリビングで目にして、どこのメーカーの製品かを初めて強く意識する家電だ。家にあれば、子供が将来、そのメーカーのテレビ以外の製品にも親しみを持つという長期的なマーケティング効果がある。一家に1台以上あることによって、日本メーカーのブランドの存在感を世界に示す意味がある」

 −−しかし、世界テレビ市場で国内メーカーは韓国メーカーにシェアを奪われた

 「数年前まではパイオニアなど今よりも多くのメーカーが薄型テレビ事業に力を入れていたため、国内各社は国内の競争に気を取られすぎて、海外に十分に目を向けていなかった。部品から完成品まで自社グループで一貫して手がける垂直統合の生産モデルでは互いに高コスト体質の国内では勝てても、海外メーカーと比べて商品が割高になってしまった。また、映像表示の先端技術も急激に平準化が進み、技術的な優位性が予想よりも早く失われた」

 −−国内メーカーは“脱テレビ”を進めるべきだとする意見も多い

 「日立や東芝のように工場設備などの重電分野に軸足のある企業はそれでも良いだろうが、パナソニックソニーなどの家電メーカーにとって、テレビはあくまで主力。消費者に対するブランド価値を維持するためにも、事業規模を縮小してはならない」

 −−テレビ事業の再生は可能か

 「国内メーカーはブラウン管テレビで世界市場を制して事業規模が膨らんでいたがために、液晶など薄型テレビへの事業切り替えが難しかった面があり、現在もその影響が残っている。韓国サムスン電子も世界シェア首位とはいえ、テレビ事業で利益は出ておらず、内実は苦しい。国内メーカーにとって、今は我慢の時だ。海外生産に軸足を移してきているので、今後は利益も出やすくなる」

 ○地域に応じた展開必要

 −−今後、収益を上げるための具体的な方策は?

 「欧米など先進国向けには、例えば映画館に行かなくても家庭のテレビで最新の映画を見られるようなコンテンツを巻き込んだ仕組み作りが必要。高画質化を進めるだけでは差別化が難しく、消費者が振り向かない。新興国向けには、機能を最小限に絞り込み安価な機種を投入するなど、地域のニーズに応じ、よりメリハリをつけた商品展開が求められる」

 ■辻野晃一郎氏「復活論では未来はない」

 −−国内電機メーカーのテレビ事業が苦境に陥っている

 「ネット時代の到来が全てを変えた。20世紀は日本の家電がトリニトロンソニーが開発したブラウン管)を使ったテレビなどで新たな価値観を提示し、ブランド力も圧倒的だったが、21世紀の家電は全般的にコンピューター、あるいは(複数の製品をつなぐ)ネットワーク機器として定義され直した。今や家電を定義しているのは、米アップルや米グーグルなどシリコンバレーの企業だ。サムスンなど韓国企業はシリコンバレーの価値観に従った製品をいち早く作るが、国内メーカーは意思決定が遅く、新たな価値観の提案も迅速な製品化もできないまま行き場所がなくなっている」

 ●20世紀の産物だ

 −−国内メーカーのテレビ事業の再生は可能か

 「テレビは20世紀の産物。いまだにテレビの再生、復活などと言っていることが時代遅れで後ろ向きだ。昔ながらの『受像機』『表示装置』としての機能を軸にして考えているうちは、未来が見えてこない。未来を見て、21世紀の新たなテレビというものを定義し直さなければならないはずだが、現在の国内メーカーには将来のビジョンがないため、成長戦略が立てられない。まずは将来のビジョンを明確にすることが必要だ」

 −−リビングやお茶の間に1台置かれる家族団欒の象徴として、テレビの家電の顔としての重要性は揺るがないという意見もある

 「今は家族団欒の象徴がテレビかというとそうではないだろう。祖父母から孫までが、一つのテレビ番組をお茶の間で楽しむ時代ではない。テレビを見るにしても、スマートフォンなどで自分の好きな番組を見る“個”の時代だ。古い価値観で商売をしているから、失敗することになる」

 −−高精細な画像表現など技術を追求することの意義は?

 「デバイス(機器)の性能よりもコンテンツを含めた“場”をいかに作れるかが問題。日本のメーカーは場を作ることを考えていない。技術革新は大切だが、それを消費者が求める新しい時代の価値として提供できるかが問題だ。ハードとソフトは車の両輪。コンテンツにも投資し、充実させなければ商機は生まれない」

 ●リスク取らない企業

 −−国内メーカーがかつての存在感を取り戻すためには?

 「日本企業はリスクを取らなくなったから成長しなくなった。経営状況が悪い中で日銭稼ぎが必要なのは分かるが、そればかりでは『貧すれば鈍する』ということになる。苦しい中でも将来、世界に影響を与えるような新事業のタネを探し、イチから育てるための投資をもっとしなければならない」

 【プロフィル】森本博行(もりもと・ひろみち) 昭和24年、神奈川県生まれ。62歳。上智大法学部卒。インターパブリック博報堂を経て52年、ソニーに入社し、経営戦略部部長、渉外部門主席などを歴任。平成17年から首都大学東京・都市教養学部経営学系、大学院社会科学研究科経営学専攻教授。

 【プロフィル】辻野晃一郎(つじの・こういちろう) 昭和32年、福岡県生まれ。55歳。慶応大大学院、米カリフォルニア工科大大学院修了。ソニーでテレビ「コクーン」などを手がけ平成19年にグーグルに入社、21年に同社日本法人社長。22年に退社し、IT分野などで企画・開発を行うアレックスを創業、社長に就任。










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